拙者の、いわば裏設定的なアレにござる。
継ぎ足されたり霧の如く掻き消えるかもしれぬ、忍者のような儚きもの。
だから竹槍で突っつくのは勘弁でござるよ!
見えない覆面を剥がす
・代々お偉方を暗殺者たちから守ってきた「御代」一族の末裔。御代とは身代わりのことであり、当初は血縁的な意味を持たない苗字だった。それゆえに個人を示すものは下の名前のみにあり、御代出身者はたとえ苗字が変わったとしても互いに名で呼ぶ慣習がある。
・信蔵は御代の忍び(=消耗品、動く盾)らしく機械的な少年であった。ところがある日笑顔がまぶしい青年に出会い、彼の在り方に接する内、憧れという感情を覚える。結局その青年とは短い付き合いだったが彼の笑顔は強烈な印象となって信蔵の心に焼きついた。以降、信蔵は外の世界・一般人らしい生き方・青春というものにひどく焦がれるようになる。余談だが青年の話は恋人に関するノロケが九割だった。
・信蔵14歳、灼滅者として目覚めたことを契機に抜け忍となることを決意する。この頃には現在の性格の下地がかなり出来上がっていた。この性格の根底にあるのは「誰かに愛されるということ」を切望する孤独感である。つまり普段の振る舞いは本人の性質そのものでもあるが、一種の虚勢としての側面も大きい。
・彼が友人作りで提供できるものは「忍者である」ことだけである(と信蔵は思っている)。だから惜しみなく忍術を披露するし、『うっかり忍術を失敗する』というアピールも行う。
・とは言え、今の信蔵はまぎれもなく素であの状態である。過去のことは完全に吹っ切っているつもり……というか、かつての境遇に不満はあるが不幸だったとは一切思っていない。少なくとも信蔵自身はそう信じている。